片瀬久美子氏の付録への疑問(その1)

片瀬久美子氏は、『もうダマされないための「科学」講義』という本の付録に、「放射性物質をめぐるあやしい情報と不安に付け込む人たち」という文章を書いている。私には、この文章の書きぶりには大いに疑問があるので、ここで箇条書きにしながらまとめてみたい。

その前に注意しておきたいことがある。

第一に、私は、片瀬氏が批判している人たちを擁護するつもりはない。
私が主張したいことは、相手が酷いからといって批判する側が何をしてもいいということにはならないということである。

第二に、私は「生物学」の研究者ではないので、専門的なことを云々するつもりはない。
調べられる限りの文献を探索するなどということをするつもりはないし、ここで私が述べることは、比較的容易に理解できる主として論証上の問題点に限られていると思う。

第三に、私は片瀬氏の主張していることのすべてが誤りだと言いたい訳ではない。
ちょっと論証に無理があるのではないかという点を列挙してみたいだけである。

取り上げておきたいテーマは、いまのところ次のような感じである。

  「米のとぎ汁乳酸菌」を批判する文脈でO157の例を持ち出すのは蓋然性の観点で問題があるのではないか。

  マウスによる実験結果からヒトに対する効果について推論するという議論に対する片瀬氏の態度はあまりに全面的・包括的否定に偏りすぎているのではないか。

  片瀬氏の植物の形態に関する議論は一面的過ぎて、「異常の状態にあるように見える植物」の状況を把握するという点で誤解を生じるのではないか。

  アップルペクチンの効果を実証したとする論文の信用性に疑問を呈するこの記事は、批判のポイントがずれているのではないか。

  片瀬氏はいくつかのツイートで感情的になることを批判しているわりに、自身の発言にもかなり感情的になっていると思われるものがあり、その発言はかなり不適切なものが混ざっているのではないか。

他にも必要に応じて追加するつもりである。

なおこの記事を書くにあたって、友人Y氏にいくつかのアドバイスを頂いたので感謝したい。しかし、この記事の内容に関する責任はすべて私にある。