科学ジャーナリスト・内村直之氏による前京大総長・松本紘批判への疑問(その4)

(その1)でみた科学ジャーナリスト・内村直之氏による松本批判のツイート群について検討したい。 (その2)では、総長選挙の内部情報に関する点について、(その3)では「松本氏の業績」に関する点について、それぞれ批判的に検討した。 今回は、松本氏の改…

科学ジャーナリスト・内村直之氏による前京大総長・松本紘批判への疑問(その3)

(その1)でみた科学ジャーナリスト・内村直之氏による松本批判のツイート群について検討したい。 前回の(その2)では、総長選挙の内部情報に関する点について批判した。今回は「業績」に関する点について扱う。内村氏の松本氏の業績や知見に関する評価は非…

科学ジャーナリスト・内村直之氏による前京大総長・松本紘批判への疑問(その2)

(その1)でみた科学ジャーナリスト・内村直之氏による松本批判のツイート群について検討したい。今回は「総長選挙」に関する点について扱う。 総長選の内部事情とそれに対する重大なミス この節で私が指摘したい論点は以下の通りである。 各研究科の投票行…

科学ジャーナリスト・内村直之氏による前京大総長・松本紘批判への疑問(その1)

前京大総長の松本紘氏が、野依良治・前理化学研究所理事長の後任として調整が進んでいるとの報道が出た。 これについて、科学ジャーナリストの内村直之氏が以下で引用するような一連のツイートで批判的に言及している。私は、内村氏の批判は非常に一方的で、…

京都大学における「国際高等教育院」構想、反対側への疑問(その6)

前回まで、いわゆる総長メールに添付された参考資料1から参考資料4の内容を具体的に概観し、「国際高等教育院」構想に反対する側がこれらの資料についてどのようなコメントを行っているか批判的に検討するとともに、反対側が公開している具体的な文書として…

京都大学における「国際高等教育院」構想、反対側への疑問(その5)

前回まで、いわゆる総長メールに添付された参考資料1から参考資料4の内容を具体的に概観し、「国際高等教育院」構想に反対する側がこれらの資料についてどのようなコメントを行っているか批判的に検討するとともに、反対側が公開している具体的な文書として…

京都大学における「国際高等教育院」構想、反対側への疑問(その4)

前回・前々回と、いわゆる総長メールに添付された参考資料1から参考資料4の内容を具体的に取り上げつつ、それらに対する反対側のコメントの内容について批判的に検討してきた。簡単にまとめるなら、全学共通科目に関する現状に対し、大学入学時の学生の習得…

京都大学における「国際高等教育院」構想、反対側への疑問(その3)

京都大学の中で話題になっている「国際高等教育院」構想について、特にこの構想へ反対する側の議論を批判的に検討することを念頭に、今回は、いわゆる総長メールに添付された参考資料1から参考資料4について、その内容を把握し検討してみようと思う。また、…

京都大学における「国際高等教育院」構想、反対側への疑問(その2)

京都大学の中で話題になっている「国際高等教育院」構想について、特にこの構想へ反対する側の議論を批判的に検討することを念頭に、今回は、いわゆる総長メールに添付された参考資料1から参考資料4について、その内容を把握し検討してみようと思う。また、…

京都大学における「国際高等教育院」構想、反対側への疑問(その1)

1.はじめに─私の感じた反対側への違和感(1)─ 京都大学において、いわゆる「全学共通科目」と呼ばれている教養・共通教育の見直しのために、新しい組織として構想されている「国際高等教育院」がある。この「国際高等教育院」構想についての賛否両論が交…

日本数学会による大学生数学基本調査への疑問(その15)─新井紀子氏による日経ビジネス Associe」誌の記事について

思わず目を疑うような記事を見た。「日経ビジネス Associe」誌2012年10月号に掲載された、新井紀子氏による「サバイバル力を試す数学問題」なる記事である。4ページにわたって日本数学会による大学生数学基本調査の問題のうち、問1-1,問1-2,問2-1,問3の4題を…

日本数学会による大学生数学基本調査への疑問(その14)─雑誌「数学文化」第18号の竹山論文をめぐってV─

雑誌「数学文化」第18号に、『問題提起としての「大学生数学基本調査」』と題する竹山美宏氏の論説についての検討を行っていた。 「欲望論的アプローチ」との関係について 「4.おわりに」の中で竹山氏は次のように述べている。 いかなる調査であれ設計者の…

日本数学会による大学生数学基本調査への疑問(その13)─雑誌「数学文化」第18号の竹山論文をめぐってIV─

雑誌「数学文化」第18号に、『問題提起としての「大学生数学基本調査」』と題する竹山美宏氏の論説についての検討を行っていた。今回は、竹山氏がこの調査で測ることを意図した学力のうち第3のものについて検討したい。 学習指導要領が設定する「数学のよ…

日本数学会による大学生数学基本調査への疑問(その12)─雑誌「数学文化」第18号の竹山論文をめぐってIII─

雑誌「数学文化」第18号に、『問題提起としての「大学生数学基本調査」』と題する竹山美宏氏の論説についての検討を行っていた。今回は、竹山氏がこの調査で測ることを意図した学力のうち第2のものについて検討したい。 「わかる」と「できる」の違いにつ…

日本数学会による大学生数学基本調査への疑問(その11)─雑誌「数学文化」第18号の竹山論文をめぐってII─

雑誌「数学文化」第18号に、『問題提起としての「大学生数学基本調査」』と題する竹山美宏氏の論説についての検討を行っていた。 今回は、その中の「3.出題意図」を取り上げたい。 大学入試問題の相対化について 3.1節「設計方針と本調査が対象とする『学…

日本数学会による大学生数学基本調査への疑問(その10)─雑誌「数学文化」第18号の竹山論文をめぐってI─

雑誌「数学文化」第18号に、『問題提起としての「大学生数学基本調査」』と題する竹山美宏氏の論説が掲載された。 これまで、大学生数学基本調査に関してまとまった形で公表されているものは、日本数学会公式のものか、新井紀子氏単独に依るものか、新井氏…

日本数学会による大学生数学基本調査への疑問(その9)─雑誌「世界」の新井・尾崎論文をめぐって─

雑誌「世界」5月号(岩波書店)に、「『空想主義的』教育改革がもたらしたもの─大学数学基本調査の結果から」(新井紀子・尾崎幸謙)が掲載された。今回はこの記事を取り上げて、ここまでに指摘してきた論点に即して問題点を列挙してみたい。 あえて冒頭に結…

北川智子『ハーバード白熱日本史教室』への疑問(その1)

『ハーバード白熱日本史教室』(北川智子:新潮選書469)ハーバード大学東アジア学部で日本史のクラスを担当するレクチャラーである北川氏の著作である。なるべく感情を抑えて客観的に書くと、ハーバード大学の風景、筆者北川氏の来歴や歴史観、北川氏の講義…

日本数学会による大学生数学基本調査への疑問(その8)─続・報告会に参加して─

新井紀子氏の発言について、報告会における具体的な発言を取り上げてコメントしたいと思う。 私は今回の報告会で表明された新井氏の見解を批判的に検討したい。新井氏の見解がどの程度まで日本数学会、あるいはその会員の間で共通認識化しているかという点は…

日本数学会による大学生数学基本調査への疑問(その7)─報告会に参加して─

日本数学会教育委員会主催のシンポジウム「第1回大学生数学基本調査の報告」に参加してきた。報告書の抜粋が資料として配布された*1。私は今回配布された報告書の抜粋やシンポジウムでの各氏の発言などについて、強い違和感を覚えているし、また少なからず憤…

日本数学会による大学生数学基本調査への疑問(その6)─まとめ─

(その2)から(その5)にわたって、日本数学会が行った「大学生数学基本調査」とその結果分析に関する疑問点を述べ批判を書いてきた。全体を通してまとめておきたい。 私は今回の調査を行ったことそれ自体は評価している。その労に敬意を表したい。というの…

日本数学会による大学生数学基本調査への疑問(その5)─報道とのギャップや関連コメントなど─

「ゆとり教育世代」と今回の調査結果の関係が不明確である。 今回の「大学生数学基本調査」は複数の報道機関で報じられ、その多くが「ゆとり教育世代」と「学力低下」を結びつける内容のものであり、また情報を受け取る側も、「ゆとり教育世代」の「学力低下…

日本数学会による大学生数学基本調査への疑問(その4)─「論理」の氾濫─

今回の「大学生数学基礎調査」の報告書概要版とそれに基づく「数学教育への提言」の中には、「論理」という言葉がふんだんに使われている。しかし、それらの言葉や文脈は、詳細に見てみるとどのように定義されるものかが曖昧であったり、「論理」と「数学」…

日本数学会による大学生数学基本調査への疑問(その3)─結果の分析について─

今回の調査目的は、冒頭から抽象的である。「高等教育を受ける前提となる数学的素養と論理力」とは何かということが全く定義されていない。 基本調査に至る経緯の中で、 「1.読解・表現などの国語力 2.抽象的・論理的思考力 3.知識に対する意欲や忍耐力とい…

日本数学会による大学生数学基本調査への疑問(その2)─問題およびその正答例の妥当性について─

今回の調査は、「高等教育を受ける前提となる数学的素養と論理力を大学生がどの程度身につけているのか、その実態を把握」することをひとつの目標に行われたものである。 用いられた問題は3つのステージ合計5問であった。調査票+問題はこのpdfファイルにあ…

日本数学会による大学生数学基本調査への疑問(その1)

日本数学会が「大学生数学基本調査」を行い、それに基づいて、2012年2月12日に《「大学生数学基本調査」に基づく数学教育への提言》を発表した。 2012年3月11日現在、まだ「大学生数学基本調査」の正式な報告書は発表されておらず、日本数学会のページでは、…

片瀬久美子氏の付録への疑問─番外編&備忘録─

もう終わりにしようかと思っていたのだが、その後もいろいろな発言が飛び出しているので、いくつか拾い出して批判しておきたい。 なおこの記事は必要に応じて随時追加していく。 (1)Impact Factorはいつから論文の信頼性をはかる尺度になったのか。(2011.12…

白熱教室JAPAN大阪大学小林傳司教授への疑問(その2)─第1回「BSE事件が問いかけるもの」要約

白熱教室JAPAN大阪大学小林傳司教授の第1回は、「BSE事件が問いかけるもの」と題して放映された。率直に言って、私は、この講義は、問題の立て方自体はともかくとしても、情報提供の仕方や発問の仕方・教員側の発言・学生側の議論などの多くの部分において、…

白熱教室JAPAN大阪大学小林傳司教授への疑問(その1)

話題になった「ハーバード白熱教室」にあやかって「白熱教室JAPAN」なる番組が製作されている。 科学技術社会論の立場から、大阪大学の小林傳司教授の講義が取り上げられた。 私はこの講義の内容/見方には大いに疑問があるので、数回に分けてその内容につい…

片瀬久美子氏の付録への疑問-epilogue

片瀬久美子氏が『もうダマされないための「科学」講義』という本の付録に書いた「放射性物質をめぐるあやしい情報と不安に付け込む人たち」という文章とそれに関連した片瀬氏の発言や記述に対する疑問点や批判を述べてきた。 私が書いた(その6)「議論の姿…